春はあけぼのと言うけれど

好きな季節を聞かれたら、私は春の夕方と答えます。

特に、春の夕方、洗濯物を取り込むとき、フワッと身をつつむやわらかい空気が好きです。

ちょっぴり切なくなる匂いと風の暖かさが、たまりません。

かの清少納言は、「春はあけぼの」とうたいました。

けれど、私にとって春のあけぼのはとにかく眠くてなりません。

日中もだめです。

夕方頃が、一番私の目が覚めていて、いいのです。

ところで、清少納言の枕草子を中学で習ったとき、友人と「枕草子、私たち版」を作りました。

季節ごとにどの時間帯が好きかをそれぞれ考えて書き出すというものです。

当時の私がなんと書いたのかは、とうに記憶のかなたですが、友人の一人が、「夏はあけぼの」と書いていたのをよく覚えています。

夏のあけぼのなんてただ暑いだけじゃないのと思って尋ねると、

「まだ日が昇るか昇らないかの、暑くなる前だよ」

とのこと。なんでも、友人は夜更かしをして、朝日が上がる頃寝るためその時刻の景色が見れるのだとか。

なるほど、友人にとってあけぼのは、寝る寸前に見る景色というわけです。

なんとも面白い答えでした。

「枕草子、私たち版」

は大人になってからも親しい友人とやっています。

夫は、「夏は夜」と答えていたので、清少納言と感覚が同じのようです。

私は、夏は午後、とても暑い盛りの頃が好きですが。

あの、景色の濃度が高くなる感じがたまりません。

でも、冒頭に戻りますが、やっぱり一番は春の夕方です。

あたたかくて頭もぼんやりとしていて、季節・時間の中で一番夢と現実があいまいになるときだと思っています。

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